おはなしの森 座談会
「みんなで話そ!わくわくの外遊び」その2

bio14-0132

ケガが起きても、まずその子が挑戦したことを認めたい。頑張った結果のケガなんだと。

やっし:プレーパークでは子どものケガの対応をどうしてるか、タカに聞いてみましょう。

タカ:ケガは、オレもビビることはあります(笑)。

フジイ:ビビるよね〜。痛いしね〜。

タカ:プレーパークに入りたての1年目の時に、子どもが両腕骨折する事故があって。大きなケガはあるだろうなと思ってたんだけど、最初に大きなケガをまじまじと見て、そっからビビっちゃって。ハハハ。現場でヒヤヒヤしながら、ケガが無いようにって思ってると、それを子どもたちが感じ取るんだよね。タカがおかしいって。これはちょっとまずいなと。自分はここに毎日いるんだからビビッてどうするんだ。ケガの無いようにしようと思っていたら、子どもたちの遊びが制限される、子どもたちの動きがどんどん小さくなってしまう。
 それで、なぜそのケガが起きたのかを納得いくまで検証したんです。ハードルの付け方などの勉強は研修でしていたんですが、子どもたちに聞いたり、自分が登ってみたりして、それで少しずつ気分的に楽になりましたね。それからも何度か骨折のケガはありましたけど、今はケガが起きても、まずその子が挑戦したことを認めたい。頑張った結果のケガなんだと。ケガの原因を常に検証しながら、その場をどう活かしてていくのか、という感じでやってます。

やっし:補足すると、プレーパークの遊具は、年齢・体格的にまだできない子は登れないように、階段やハシゴをわざとつけないようにして、不慮のケガを防いでるんです。

タカ:そう、ハードルを持たせてる。高いところに登ったときに、怖いと思ったら自分で気をつけるようになるんだけど、まだ認識能力がない小さい子は危ないという感覚が無くて、ふざけたりして落ちちゃう。なので中途半端な高さにしない。高い建物だったら階段を2段抜かしたりしてハードルをつける。そのハードルの付け方が、子どもたちにとっては挑戦になる。登れない、悔しい。やっと登れたときは嬉しかったりとか。
 でも、ハードルをつけたとしても、ヒヤヒヤするときはいっぱいあって(笑)。子どもたちの遊びを応援するって、結構大変なことだと思う。ケガはあるかもしれないけど、子どもたちの遊びの魅力をひろげていけないと思っているので、怖いと思った時には世話人とか地域の人たちと相談して、一緒に遊び場を作っていければいいかな。

小さなケガの経験を重ねて、体をつくっていく

やっし:世の中的にはケガしちゃいけないという風潮がありますが、気にしすぎると思いっきり遊べないじゃないですか。小さな擦り傷はほんとに日常茶飯事。保育士やプレーワーカーにとっては、そのケガは子どもたちの成長の証だしチャンスに見えても、親にはそう見えなかったりするわけ。だから、子育てのコミュニティをつくって、普段からそういう話をしていこうよってことですよね。ここでフジイにもぜひ聞きたい。大きな木の子たちは一日中外で遊んでいるから、どうやってケガをしないような体作りをさせているのかを聞かせてください。

フジイ:生活のリズムが乱れてたり、親が忙しくて気持ちが子どもに向いてないとか、そういう時にケガしやすいんだよね。子どもがケガした、熱出したっていったら、子どもにちゃんと向いてたかなって気付ける親になってくれたら最高に嬉しい。体について言うと、体が硬い子は転んだ時に骨折しやすいんだよね。
 プレーパークのいい所は、地面がどこもデコボコで斜面だっていうとこなんだよね。小さいときから斜面を行ったり来たりするだけで体が育ってくる。何回も転べば、転び方も学べるし、手も出るだろうし、小さなケガの経験を重ねて、体をつくっていくんだよね。乳幼児期に、外で転んだり足を滑らす、いろいろな体験ができる環境で、体をつくっていってほしいなと思っています。

やっし:淵上さん、大きな木保育園に通っていてケガについて何か気になることあります?

淵上:圧倒的に体力がついたので、ケガをしにくくなったっていうのは感謝しています。風邪ひいたときが子どもからのサインだっていうのも、おっしゃるとおりだなと。何かこう見るのが足りなかったんだろうな、というのはありますね。ケガに対しては子どもがタフになりましたね。今風の言葉でいうと「レリジエンス(精神的回復力)」っていう、倒れても元に戻る力、そういう力が強くなったのは、外で自由に、一生懸命遊んでいるからだろうなと感じます。

子どもの気持ちに寄り添えたかどうか、結果は後からついてくるんじゃないかな。

やっし:まだまだ聞きたいこといっぱいあるんですが、そろそろ時間になってきました。最初のテーマに戻るんだけど、子どもの気持ちを理解する、寄り添うってことについて、最後にタカに聞いてみたいな。

タカ:難しい…寄り添えてるのかな?(笑) 子どもに限らず、他人のことを完全に理解なんてできないし、理解したって思わないほうがいいなって、いつも思っています。でも、この子はどう思っているんだろう、何がいいんだろうかってその子の気持ちを探りたい。
 大人は寄り添わないといけないとか、子どものことを理解しないといけないと思うと辛くなっちゃうので、理解したいと思う気持ちや、自分が楽しむことで共感することが大事だなって。それが結果的に子どもたちに寄り添うことになるんじゃないかと思います。寄り添えたかどうか、結果は後からついてくるんじゃないかな。